改正貸金業法の完全施行から5か月がたち、クレジットカードのショッピング枠を使って現金を手にする「現金化商法」を巡るトラブルなどの相談が急増している。
国民生活センターによると、今年度は263件(10月末現在)で、前年同期(88件)の約3倍。同センターは、改正後に消費者金融から金を借りられなくなった人たちが、同商法を利用しているとみている。
「質屋のイメージ」。東京・千代田区にある雑居ビルの一室で、現金化商法を手がける男性は、その手法をそう説明した。
男性によると、例えば、現金10万円が必要な場合、利用者は、業者が指定する「金券」をクレジットカードで12万5000円分購入、業者がそれを10万円で買い取り、その場で利用者に10万円を手渡す。これは「買い取り方式」だ。
男性は「違法ではない」と説明するが、10万円を得た人には、1、2か月後、カード会社から12万5000円の請求が届く。差額の2万5000円が事実上の金利となり、その年利は最大約300%。出資法などで定める上限(15~20%)をはるかに上回ることになる。
同センターでは、「買い取り」とは別に「キャッシュバック方式」もあるとしている。
東京都内に住む元会社経営者の男性(58)は、生活費目的などでこの手法を計10回利用した。インターネット上から20万円で指輪の購入をカード決済で申し込むと、口座にはすぐ17万4580円がキャッシュバックという名目で振り込まれた。
2~3日後に届いた指輪はおもちゃのようなものだったが、男性は「消費者金融が貸してくれない中、すぐに現金が手に入るのは魅力だ」と語る。
同センターへのこうした商法を巡る相談は、貸金業法改正の完全施行前後から急増、「解約したい」「高金利だ」などと内容は様々だ。無審査で手軽な点も、利用者が増えている理由とみられる。
一方、法改正では、主婦などが金を借りにくくなったとも指摘されている。