[日本語]<金総書記死去>野田首相、万全の態勢構築を指示

2011.12.19 15:55:36

野田佳彦首相は19日、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去報道を受け、情報収集態勢の強化や不測の事態に備えて万全の態勢を取ることなどを指示した。政府は同日正午過ぎ、首相官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置。同日午後1時から、首相官邸で緊急に安全保障会議(議長・野田首相)を招集し、情報の収集と今後の対応策の検討に入る。金総書記から三男金正恩氏への権力移行に伴う不安定化を警戒しており、外務省幹部は「関係国と協議しなければならない」と述べ、米国や韓国などと協議する考えを示した。

 首相は19日昼、就任後初めて東京・新橋で街頭演説を行う予定で首相官邸から会場に向かったが、金総書記死亡の連絡を受け、街頭演説を中止し首相官邸に戻った。首相は官邸に戻った際に「今、そういう報道があったようなので、事実確認をするように指示している」と記者団に語った。首相は官邸に戻り、(1)北朝鮮の今後の動向について情報収集態勢を強化する(2)米国、韓国、中国など関係国と緊密に情報共有する(3)不測の事態に備え、万全の態勢をとる--の3点を指示した。

 外務省内では、同日午前から北朝鮮で「重大放送」があるとの情報をつかみ、米国などとその内容について連絡を取り合っていた。しかし、金総書記の死去までは想定していなかったといい、担当する外務省幹部は報道直後「報道の範囲内しか情報はない。まずは情報収集と体制整備だ」と述べ、情報収集に全力を挙げる考えを示した。北朝鮮の核問題をめぐる影響については、別の外務省幹部が「分からない。分析しているところだ」と語った。

 一川保夫防衛相は防衛省幹部を集め、情報収集に全力を挙げ、警戒監視に万全を期すよう指示した。自衛隊幹部は「常に即応体制をとっている。平壌放送の内容が正しいかはわからず、今後の政治体制も含めて情報収集し、分析する必要がある。死亡したという17日から2日たっており、国内が治まっているから発表しているかもしれない」と話した。

 金総書記の死去について、与野党幹部もコメントを出した。自民党の石原伸晃幹事長は「政治体制の急激な変化が北東アジアの安全保障に悪影響を与えないよう、注意深く見守りたい」とのコメントを出した。公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は、国会内で記者団に「北朝鮮国内が力のバランスを失って大きく流動化することが考えられる。東アジアの平和、安全保障の面からも日米、日韓、日中の連携が必要だ。また、拉致問題の解決に何らかの形で前進に一つの材料になればとの思いもする」と話した。



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