沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を撮影したビデオ映像がインターネット上に流出した事件で、「自分が映像を流出させた」と上司に名乗り出た神戸海上保安部(神戸市中央区)の海上保安官の男について、警視庁捜査1課は同日、国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで事情聴取を始めた。容疑が固まり次第、逮捕する方針だ。これに従い、警視庁では今後、男が映像を入手した経緯についても東京地検などと連携を取りながら解明を進める。
関係者によると、海上保安官は巡視艇の乗組員。
検察当局は9日、映像が投稿された動画サイト「ユーチューブ」を運営する検索大手「グーグル」から、インターネット上の「住所」に当たるIPアドレスなど投稿者に関する記録を押収。警視庁でアドレスの分析を進めたところ、神戸市中心部のネットカフェから投稿されていた可能性が高いことが判明した。また、海上保安庁が実施した内部調査結果に関する資料の任意提出を受けていた。
映像は4日、インターネットの動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」で公開された。海保の巡視船「よなくに」「みずき」に中国漁船が衝突した場面や漁船が違法操業している場面を撮影したもので、約2分半~11分半の計6本、合計で約44分間あった。
映像の投稿者名は「sengoku38」となっており、4日にユーチューブのアカウントを登録。5日に自ら映像を削除したが、コピーされた映像がネット上に多数拡散している。
なお、これに関連し菅直人首相は同日午後の衆院予算委員会で、「管理責任が不十分だったことについて最終的責任は私自身にも当然ある」と述べた。