石川県輪島沖で小型木造船に乗った脱北者とみられる9人が保護された。
発見当時、脱北者の船には衛星利用測位システム(GPS)もなく、エンジンで航海中で、船内にはコメとキムチが少し残っていただけで、出発当時に準備したという30リットルの飲料水はすべてなくなった状態だった。また、出港時に準備した軽油180リットルのうち60リットルが残っていた。
NHKによれば、9人のうちリーダー格の男性は日本海上保安庁の関係者に「私たちは韓国に行くため、8日午前に北朝鮮の漁大津(オテジン)港(咸鏡北道東海岸に位置)を出発した。韓国に行きたい」とし「私は朝鮮人民軍所属の軍人で、ほかは家族と親戚」と伝えた。
石川県の漁業関係者は「11日は秒速10メートルの強風が吹き、波が高いため出港が禁止されるなど、最近、気象条件が良くなかった」とし「こうした小型木造漁船がここまで無事に来たというのは奇跡に近い」と驚きを表した。
北朝鮮の漁大津(オデジン)から能登半島までは直線距離で約750キロ。日本に脱北者が乗った漁船が漂流したのは1987年1月と07年6月に続いて3度目となる。日本メディアは4年ぶりに脱北者が日本に入国したことに関し「北朝鮮の食糧難が深刻になっているという傍証」と分析した。
藤村修官房長官は「過去にも例もあるだけに適切に判断する」とし、本人の意思を尊重する意向を明らかにした。韓国政府は9人の韓国行き意思が確認された場合、順調に身柄が引き渡されるとみている。外交通商部の当局者は「特別な問題がない限り、日本政府は07年の青森の事例に準じて乗船者の韓国行きに協力するだろう」と述べた。
この当局者は「日本海上保安庁が1次調査を終えしだい、新潟の総領事館と情報を共有し、身元と目的地が確認されれば、脱北者に関する一般的な原則に基づき措置を取る計画」と述べた。脱北者が海外を通して入国する場合、経由国に関係なく国家情報院の調査、ハナ院(脱北者定着支援施設)の教育などの過程を踏むことになる。
一方、現在、第9管区海上保安本部では、金沢港にえい航された木造船を改めて調査し、船内構造などを確認した。脱北者とみられる男女9人についても、前日に引き続き事情聴取を行った。同本部によると、巡視船内で一夜を過ごした9人は、朝食に出されたおにぎりやキムチを食べ、事情聴取にも素直に応じているという。
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