韓国の李明博大統領は30日、ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、北朝鮮が核計画をやめれば、同国との平和的経済共同開発を行うとの原則を維持すると言明した。
大統領は「政治的動機から北朝鮮問題にアプローチする考えはない」、「われわれは北朝鮮が核計画での野望を捨てるなら、同国との経済協力を受け入れる」と述べた。
韓国の島が昨年砲撃され、また、同国の哨戒艦艇が撃沈されて50人が死亡した事件が起きたあと、李明博政権は北朝鮮への支援を停止するとともに、ほとんどの関係を断った。
しかし、政府メンバーが北朝鮮への「柔軟な」アプローチを口にし始め、いくつかの支援はここ数週間の間に再開された。大統領の任期(5年)があと1年をとなる中で、韓国では北朝鮮に譲歩し、金正日総書記との首脳会談もあるのではないかとの思惑も浮上している。盧泰愚前大統領は2007年に、退任の4カ月前に首脳会談を行った。ただ、見るべき成果はほとんどなかった。
穏やかな話しぶりの李大統領は、北朝鮮への一貫したアプローチが必要だとし、朝鮮半島に平和をもたらすために平壌が「戦略的決定」をするよう要求した。
先週韓国を訪れたパネッタ米国防長官は、韓国の共同防衛への約束を再確認して同国を勇気づけた。米国の当局者らは、北朝鮮が核兵器計画中止に向けた具体的措置を取る用意があるとは思えないとしている。計画の中止は6カ国協議再開の前提条件となっている。最近、米国と韓国は一連の2国間協議を行い、6カ国協議再開の期待が高まっていた。中国、日本、それにロシアが参加する同協議は09年、二度と協議に戻らないとして北朝鮮が抜けて以来開かれていない。
李明博大統領は先週、中国の次期首相と目され、北朝鮮を訪れた李克強・筆頭副首相とも会談した。大統領は、中国が北朝鮮を核開発と韓国への挑発から引き戻そうとしていることを認め、中国は平壌への影響力を行使し続けるべきだと語った。
今週フランスのカンヌで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議に出席する同大統領は、ユーロ圏の債務危機を解決するためには詳細な行動計画が必要だとし、また、その再燃を防ぐために、追加的なリスク要因を明確にすべきだと述べた。大統領は、ユーロ圏加盟国でG20のメンバーであるドイツ、フランス、イタリア、それに欧州連合(EU)は同圏の債務危機解決に向けた次の諸措置を説明するだろうとしている。
その上で、ユーロ圏の首脳は「詳細な計画を作り、直ちに行動に移すべきだ」とし、「その他のリスクを明確にし、前もって備えることが最も重要だ」と話した。
李明博大統領は、韓国の構造改革と経済界への政府関与の縮小を約束して選挙に勝ったが、貿易依存型の同国経済が世界的なショックの打撃を受ける中で、危機管理が重要任務となった。
最近の欧州の危機も韓国市場に大きく影響し、今年高騰していた株価や通貨ウォンは高値から急落した。しかし、大統領は、韓国の輸出先が先進国から開発途上国にシフトしていることで、この経済的嵐を乗り切ることができたとし、韓国の経済的ファンダメンタルズも力強いと強調した。
ただ、「感情的な側面」がまだ残っており、世界の経済成長に懸念が生じると韓国の大手輸出業者は打撃を受けるとの見方から、投資家が韓国市場から資金を引き揚げると述べた。
さらに、今週のG20サミットでは、自由貿易の利点を強調すると述べた。韓国は最近、米国との間で自由貿易協定(FTA)を結んだ。EUとの間ではこれより先に同様の協定を結んでいる。同国は日本と中国との協定締結も検討している。