韓国統一部が、北朝鮮への支援を行う一部の民間団体に対し、支援物資の分配状況を確認するモニタリングに関する事前同意書を求めていることが9日、分かった。
支援団体によると、統一部は10月初めごろから小麦粉を北朝鮮に支援する団体に対し、同意書の提出を求めている。
同意書は「モニタリングを履行できない場合は、訪朝と物資の搬出で不利な措置を受けることに同意する」という内容で、モニタリングを行う場所が最低何カ所かを明記しなければならない。
モニタリングの勧告事項について、口頭で伝えていた統一部が同意書まで要求するのは異例といえる。一部の民間団体は同意書に渋々署名し、支援を行ったという。
統一部は7月末、民間団体による北朝鮮への小麦粉支援の再開を許可した直後にモニタリングを大幅に強化した。北朝鮮側も初めはビデオ撮影や現場訪問など強化された基準に協力的だったが、最近は事前配分計画書を韓国側に送らないなど消極的な態度に変わった。
南北合同事業の開城工業団地の入居企業が水害の被害を受けた開城住民のための小麦粉支援を進めたが、実現しなかったのも北朝鮮側がモニタリングを受け入れなかったためだという。
統一部が同意書を求めているのは支援物資配分の透明性確保を強化し、物資の転用を防ぐという意志の表れといえる。
一方、一部の民間団体は、同意書が北朝鮮への支援を統制する手段になりかねず、人道主義精神に反すると反発している。
ある民間団体の関係者は「モニタリングは基本的に北朝鮮側が受け入れるかどうかにかかっているのに、政府が団体側に責任を問うのは危険な発想だ。結局、統一部が民間団体をコントロールしようとする意図があるのではないか」と疑いの目を向けた。