ソウルで11日に開幕する20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)では、国際的に適用される新しい金融規制の一部事案が最終確定される。
銀行が確保すべき資本と流動性基準を定めるもので、以前よりはるかに厳しくなるとみられる。新しい金融規制は、内容はやや複雑で専門的だが、簡単に言えば金融会社に「質の良い資本」の確保を迫るものだ。普段問題のなかった銀行が非常状況で資産価格が急落し、金融圏全体に衝撃が広がる最悪の状況を予防する狙いがある。
これは自己資本比率の新基準「バーゼル3」と呼ばれる。既存の「バーゼル2」より普通株の資本比率が3.5倍高く、2013年から2019年まで段階的に施行される。その上、金融機関からの融資で運用額を大きくする仕組み(レバレッジ)の割合が新たにつくられる。全体資産規模で、資本が一定割合以上を維持できるように、資産価格が急落しても耐えられるようにした。これは2013年にテスト運営に入り、2018年から本格化する。
どんなに資本が多くても、緊急事態に対応できる流動性がなければ意味がない。そのため、G20は資本比率を強化すると同時に、流動性比率も導入する予定だ。短期流動性は2015年から、中長期流動性は2018年から適用される。
国際金融規制案は、各国の金融監督当局でつくる金融安定理事会(FSB)とバーゼル銀行監督委員会(BCBS)の専門家グループが進めてきた。先月ソウルで開かれたFSB総会やBCBS会議などでほぼ輪郭を固め、今回のG20ソウル・サミットではこれを最終的に検討・承認する場となる。
G20サミットの複数議題のうち、金融規制分野は議論の速度が速く、合意内容も具体的だ。金融危機の再発を防ぐためには規制の強化が必要だとする共通の認識が生まれているためだ。ただ、大半の国際合意がそうであるように、強制力を持たせ、規制が完全に定着するまでは、しばらく時間がかかりそうだ。
一方、資本と流動性に関する新しい規制の導入は、韓国にとり長期的にプラスになると予想される。韓国の金融会社は1997年の通貨危機以降、資本を着実に拡充してきたため、強化された資本規制にあまり影響されないというのが、金融当局の説明だ。
しかし、流動性比率規制はやや負担になる可能性がある。短期流動性を十分に確保できていない金融会社は規制が本格的に導入される2015年まで不足分を補完しなければならない。
金融会社の立場からみると、規制強化は決して歓迎できる措置ではない。ただ、すべての国に適用されることから、むしろ韓国の銀行が世界的な銀行に跳躍できるチャンスになり得ると当局は説明した。
また、各国の金融会社が躍進を試みるとみられ、長きにわたり米・英が主導してきた金融市場の勢力図が変わるのかも注目される。
聯合ニュース