集団予防接種でB型肝炎に感染したとして患者らが国に損害賠償を求めている裁判で、国側は24日、ウイルスを体内に持っているが、症状が出ていない感染者(キャリアー)について、「補償対象としない」という従来の方針をあらためて示した。
札幌地裁は前々回の和解協議で、「キャリアーを補償対象としない」という国の方針について再考を求めたが、24日に行われた協議で、国は裁判所に対し、従来通りの主張を述べたという。理由として、キャリアーの原告は、子供の時に予防接種を受けた時点から20年間が民法で定められた裁判を起こす権利期間であって、それ以降は訴えることはできないという「除斥期間」の問題と、B型肝炎はすでに国との和解が成立したC型肝炎に比べ、キャリアーから実際に肝炎を発症する割合が相当に低いためと説明している。
原告は「国が問題を放置したため、原告は自分がキャリアーだと知らず、裁判を起こすことができなかった。従って、自分がキャリアーだと知った時点から20年間を訴訟の権利期間とすべきだ」と主張し、双方が目指す年内解決は難しい情勢になっている。