8月25日(ブルームバーグ):米アップルのスティーブ・ジョブズ氏は他人にはできないようなテクノロジー・ビジネスを成功させるための理論を持っていた。
ジョブズ氏は2004年にビジネスウィーク誌に対し、「多くの優れたエンジニアと賢い人材を持つ企業は多数あるが、結局のところ、全員を協力させる求心力が必要だ。さもなければ、技術の素晴らしい部分を漂流させてしまいかねない」と語っている。
アップルのティム・クック最高執行責任者(COO)はジョブズ氏からCEO職を引き継ぐことになった以上、その役割を果たしていかなければならない。1998年にコンパック・コンピューターからアップルに移籍して以来13年間、クック氏(50)は生産や流通、販売、顧客サービスなど、経営面で幅広い役割をこなしてきたものの、明確な製品ビジョンは示していない.
サンフランシスコの工業デザイン会社ニューディールデザインの創業者ガディ・アミット氏は「スティーブ・ジョブズ氏が他の人間と本質的に違う点は、純然たる粘り強さと完璧を追求する姿勢だ。成し遂げるために山をも動かそうと言う意欲だ」と指摘した。
クック氏はジョブズ氏が選んだ後継者だが、携帯電話や音楽ダウンロード、小売りという多様な領域にアップルを導いてきたジョブズ氏ほど効果的に約5万人の従業員をまとめ上げていくことができるかどうかは未知数だ。
クック氏は競争激化にも直面している。台湾の宏達国際電子(HTC)や韓国のサムスン電子、モトローラ・モビリティ・ホールディングスがグーグルの携帯端末用基本ソフト(OS)「アンドロイド」のソフトを採用したため、スマートフォン向けOSで業界トップとなっている。